[開催レポート]【第1回】《美しさ×ものづくり》でミライをつくる アート×ビジネス トークイベント

イノベーションファクトリーは、学び舎HOUSE、日本政策金融公庫と共催で「《美しさ×ものづくり》でミライをつくる」をテーマに、アート×ビジネスを考える・発信するトークイベントを、伏見ポーライベントルームにて開催しました。

第一回の今回は、ジュエリーブランドHASUNA 白木夏子さんをナビゲーターに、瀬戸市の陶作家、深田涼さんをお迎えしてのトークイベントとなりました。

イベントの模様をリポートします。

陶作家 深田 涼

愛知県瀬戸市出身。2010年瀬戸窯業高等学校専攻科陶芸コース卒業。 “テーブルというキャンバス”をモットーに、明るい色が特徴で料理をする人が絵を描くように楽しめる絵具のような器をデザイン・制作。また、ガラスと陶器を組み合わせたアクセサリーブランド”Geysir”も立ち上げる。 やきものが作る色と質感が好きで研究する日々。使う人が幸せになる物作りを目指す。

 

ジュエリーブランドHASUNA 白木夏子

株式会社HASUNA 代表取締役。ペルー、パキスタン、ルワンダほか世界約10カ国の宝石鉱山労働者や職人とともにジュエリーを制作し、エシカルなものづくりを実践。日本におけるエシカル消費文化の普及につとめている。日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2011キャリアクリエイト部門受賞。 2013年には世界経済フォーラム(ダボス会議)にGlobal Shaperとして参加。2014年には内閣府「選択する未来」委員会委員を務め、Forbes誌「未来を創る日本の女性10人」に選ばれるなど多方面で活躍。

 

 

お二人は7年前に、HASUNAの名古屋店(現在移転準備のためClose中)の展示会でコラボレーションしたというご縁があり、7年ぶりの再会という雰囲気でにこやかに和やかにはじまりました。

 

アート目線での陶器、色について。「これは絶対に出会いたい」と思うことを貫く

白木:焼く前と焼いた後は全然色が違うと思うんですが、この色とこの色を混ぜたらこうなる、は分かるんですか?

深田:分かりません、が、アタリは付けられます。色々と実験をして試していく感じですね。

白木:思い通りにならない、想像していた仕上がりと出てくるものが違うと思います。陶芸家の友人から、執着心を手放すことが大事、という話をきいたこのがあるのですが、深田さんはどうですか?

深田:私は執着はありますが、なんというか、出会いを楽しみつつ、欲しい色には辿り着きたい。道中は楽しむけど「絶対出会いたいものがある」という重い想いを(笑)陶芸の色の研究に費やしているという感じですね。

白木:「これを絶対に作りたい」というクレイジーなまでに持っていることがすごく大事だと思っていて、私は起業の時に中米の聞いたことの無い国まで行って、そこの職人さんと「この貝殻を是非うちのジュエリーでつかいたいんです」というような話をしながら一個一個進んできていて、ジュエリー業界の人からしたらちょっと頭くるってるんじゃないかな?と言われながらも進んできた道なので、すごく共感します。

 

[ 子どものころは、伝統文化って「暗いな」「早く外に出たい!」と思っていた ]

深田さんと瀬戸との関係をお伺いしていくと、小さいころは瀬戸があまり好きではなかったこと。「暗いな、早く外へ出たいな!」という想いが、「海外へ行きたい」へとつながっていて、そこから実際に海外に行った体験で、改めて「自分の住んでいるまち、瀬戸のよさ」が再発見できたとのこと。

 

「陶器の色は明るくていいんだ」アメリカンダイナーの走りの陶器メーカーとの出会い

深田:瀬戸の伝統的な赤津地方の色があまり好きではなかったんです。

そこにある反発心から、鮮やかな色を出そう。というところと、もともと海外は好きだったんですけど、アメリカの西海岸にある「BAUER POTTERY・バウアーポッタリー」という会社の「人々の気持ちを食卓や日常目にする物から少しでも明るく、そして楽しくしていきたい」 という世界恐慌の時に立ち上がったアメリカンダイナーの走りの陶器メーカーさんなのですけど、そのメーカーさんの出す色というのが本当に衝撃で。

実際に工場も見に行かせてもらったんですが、当時のデザイナーのみてきたアメリカ西海岸の海の色など自然の色をを再現した陶器の色がすごく衝撃的で「陶器の色は明るくていいんだ」という後押し、インスピレーションをもらいました。

白木:うつわをみていると、深田さんの作品のルーツは日本だけじゃないないうのが良く分かるなと思っていました。

深田:海外が好きなのもあって、インスピレーションは海外の知らない文化から貰ってくるものもあるんですけど、アウトプット・表現するところは瀬戸でしかできない、と思っているんです。

 

[ 今、瀬戸のまちは、若い力を後押しする、明るい機運がある ]

深田さんが陶芸をはじめた12年前とで変わったもの

・屋外販売(マルシェ)などで、作家さんが作る高価な一点物を売るということが認められてきた。

・デパート・百貨店さんも若い作家さんを積極的に起用しようという気風がある。

・時代についていこうという気概がある窯元さんは残っている。

瀬戸では空き家を使っての、ゲストハウスやカフェが増えてきていて、そこに作家さんが居る。点と点が繋がってきているような感じがあり、すごくワクワクしている、と深田さんは語ります。

 

5年前に「陶芸で食べていく」ことを決められたのは、まちがアートを事業として応援してくれたから

深田:陶芸をアートとして、というよりは、事業として応援するという地盤があったように思います。

相談する場所はじめ、窯を買うための融資をしてくれる銀行さんも近くに会い、出会えた。

ランニングコストも意外と低かったのも、陶芸を続けてこれた要因だったかなと思います。

 

異文化と異文化の出会いから、イノベーションは産まれる

白木:異文化と異文化がぶつかった時に、新しいものが産まれる。それがイノベーションだと私は思いますが、深田さんの作品や生き方をみているとほんとうにイノベーティブだなと思います。

これからどうしていくか、どうしていきたいと考えていますか?

深田:瀬戸でやきものは、もう産業ではないけど文化である。と言われてしまったんですね。

私は、「やきもののまち」は残したい。

外から来てもここにこれば、(やきものが)当たり前にできる。続けられる。

そんなことができるまちにしていきたいと思っています。

今は作品を作ることしかできないけれど、そういうことができる場所を作っていくことが文化を残していくということだと思うので、やっていきたいなと思っています。

 

深田さんにとって「美しいもの」とは?


深田:今お話していて思ったのが「色」ですね。

炎の色が好き。高温になると白銀色になるんです。その色が本当に好きで、ずっと見ていられますね。

そういう自然の中の色、なかでもエネルギーのある炎の色というのが美しいと思います。

白木:ちなみに、陶芸ではなく陶作家なのはなぜなんですか?

深田:陶芸の芸は「芸術」だと思っていて、私は芸術というものはしていない。そんなに簡単に名乗っちゃいけないと思っています。

瀬戸の職人さんが生きるために作った。技術ありきで、それが重なりあった先に「感性」が混じる。それが「美しい」と思うので、自分はまだ芸術の形というものを名乗るほど技術はないし、まだただの作り手かな、という気持ちでいます。

 

主催:イノベーションファクトリーより

質疑応答では、実際の深田さんの販路の話や、大変だった時の気持ちや身体のリセット方法など、具体的なお話が聞けました。

白木さんと深田さんのお話から、「時代の流れが追え、異文化を取り入れやすい、風通しの良い柔軟な土壌をつくること。」これが、イノベーションが起こるのに必要な条件のひとつなのだと感じるお話でした。

 

イノベーションファクトリーでは、今後も「イノベーション」が起こる、起こす場、メディアとして、発信していきます。

次回、【第2回】《美しさ×ものづくり》でミライをつくる アート×ビジネス トークイベントは、

ジュエリーブランドHASUNA 白木夏子さんをナビゲーターに、有松・鳴海絞 括り職人 大須賀 彩さん、「まり木綿」伊藤 木綿さんをお迎えしてのトークイベントとなります。

詳細・お申し込みは下記リンクをご覧ください、ご参加お待ちしております。

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(写真・文:イノベーションファクトリー 梶 景子)